

リースバックとは、ご所有の不動産を売却しても、
新たな所有者との賃貸契約を結ぶことで、
賃料を支払いながら引き続きその不動産に
住み続けることができます。
また、将来的に
買い戻しができる点も魅力のシステムです。
リースバックの賃貸借契約とは?普通借家契約と定期借家契約の違いや注意点を解説
更新日:2025.01.27

リースバックでは、自宅の売却後にリースバック事業者と賃貸借契約を結びます。リースバックに興味があるものの、不動産取引に慣れていない場合は、契約の締結に不安や戸惑いを感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、リースバックの賃貸借契約の概要、普通借家契約と定期借家契約の違いを解説します。リースバックで賃貸借契約を結ぶときの注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
リースバックをご検討の方へ
もくじ
リースバックの賃貸借契約とは
リースバックは、リースバック事業者に自宅を売却して売買代金を受取り、後はリースバック事業者に毎月家賃を支払うことでそのまま自宅に住み続ける仕組みです。
売却後、自宅の所有権はリースバック事業者に移ります。そのため、売買契約と同時にリースバック事業者と賃貸借契約を締結し、家賃を払って住むことになります。
ここでいう賃貸借契約は、リースバックで自宅を売却した後に、家賃を払って家に住み続けるにあたっての条件を取り交わす契約です。賃貸借契約書には、家賃や契約期間、敷金や礼金、維持費の負担義務、賃貸借契約の種類など、双方で合意した条件が記載されます。
リースバックの賃貸借契約を締結するタイミング
リースバックでは、次の流れで手続きが進みます。
- リースバック利用の相談
- 仮査定の実施
- 本査定の実施
- リースバックの契約と入金・賃貸借契約の締結
リースバックの賃貸借契約が締結されるのは、訪問による本査定が行われ、不動産売買契約を締結したあとのタイミングです。
仮査定で概算の見積もりを確認して本査定を希望すると、担当者が住宅に訪問し、建物や設備の状況、周囲の環境などが総合的に査定されます。本査定後に提示される自宅の売却価格や家賃の条件面で納得できた場合、売買契約と賃貸借契約が結ばれ、売却代金が支払われます。
リースバックの賃貸借契約は2種類

賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。
項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
---|---|---|
契約方法 | 口頭と書面どちらの契約も可 | 書面による契約 |
更新の有無 | 有(自動更新) | 無(再契約が可能の場合もあり) |
1年未満の契約期間 | 期間の定めがない契約となる | 有効 |
家賃の増減請求 | 入居者は特約の有無に関わらず家賃の増減請求が可能 | 入居者は特約の定めに従い家賃の増減請求が可能 |
それぞれの特徴を詳しく解説します。
普通借家契約
普通借家契約とは、契約期間が満了した場合に、正当な事由がない限り更新される賃貸借契約です。正当な事由は、次の要素を総合的に考慮して判断します。
- 建物の貸主と借主双方の建物を必要とする事情の比較
- 建物の利用状況と現況
- 建物の賃貸借に関するこれまでの経緯
- 貸主が立退料などを申出た場合のその内容
普通借家契約の場合、貸主からの一方的な解約や契約更新の拒否はできません。長くその物件に居住したい場合に適した契約形態です。
普通借家契約は、書面だけでなく口頭での契約も可能です。ただし、1年未満の賃貸借契約は期間の定めのない契約と見なされるため、契約期間は1年以上に設定する必要があります。
定期借家契約
定期借家契約とは、契約期間が満了した場合に更新がない契約です。継続して住み続けたい場合は、契約期間満了時に新たに再契約を結ぶ必要があります。
定期借家契約と普通借家契約の主な違いは、契約の更新の有無のほか、契約方法や契約期間、家賃の増減請求などが挙げられます。
定期借家契約は、公正証書などの書面による契約が必要です。契約期間に制限はなく、1年未満の契約でも有効となります。
また、普通借家契約は特約にかかわらず家賃の増減請求ができますが、定期借家契約の場合、特約で家賃の増減請求を排除することが可能です。
なお、定期借家契約は普通借家契約と比較すると契約期間に貸主の意思を反映できることから、家賃が抑えられる傾向にあります。
普通借家契約と定期借家契約の比率
国土交通省が公表している住宅市場動向調査(2023年度)によると、一般的な賃貸借での普通借家契約と定期借家契約の比率は94.8%と2.1%です※1。
賃貸住宅に住み替えた世帯の61.3%は定期借家契約の存在を「知らない」と回答しており、世間一般での認知度はあまり高くない状況です※1。
一方、リースバックでは、定期借家契約は比較的多く採用されています。日本政策投資銀行グループの株式会社価値総合研究所が実施したアンケートでは、回答のあった39社のリースバック事業者のうち80%が定期借家契約を採用していると回答しました※2。
リースバックの賃貸借契約では一般的な賃貸借と異なり、定期借家契約での契約となる場合も想定されます。事前にそれぞれの違いを把握し、内容を理解しておきましょう。
※1出典:国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査 報告書」
※2出典:株式会社価値総合研究所「リースバックの現状について」
リースバックの賃貸借契約書の内容

リースバックで賃貸借契約を結ぶ場合、契約書の確認は大切なプロセスです。契約書の内容はリースバック事業者によって異なりますが、主に次の項目が記載されます。
- 契約期間
- 家賃
- 敷金
- 賃貸借契約の種類
- 支払方法
- 途中解約
- 原状回復
- 建物の所在地
- 設備や付属施設
- 維持費や修繕費の負担
賃貸借契約書には、リースバック事業者と合意した条件が反映されます。
通常、契約書はリースバック事業者が作成してくれるため、利用者側で作成する手間はかかりません。契約書を受取ったら、記載された内容が合意した条件と合致しているかを確認しましょう。
リースバックの賃貸借契約で確認したい注意点
リースバックの賃貸借契約は、元の自宅を借りて生活するときの条件が取り交わされる契約です。契約を締結する場合は、次の点に注意しましょう。
- 希望する期間住み続けられるか
- 家賃設定が適切か
- 維持費や修繕費の負担はどうなっているか
各注意点の詳細を解説します。
希望する期間住み続けられるか
賃貸借契約には、前述のように普通借家契約と定期借家契約があり、更新の有無や契約期間などに違いがあります。
賃貸借契約を結ぶときは、契約書が希望する期間住み続けられる内容になっているかを確認しましょう。たとえば、定期借家契約の場合は、再契約ができるか、再契約するときの契約条件がどうなっているかの把握が大切です。
ご自身の要望をリースバック事業者に伝え、できるだけ契約内容に反映してもらえるように交渉しましょう。
家賃設定が適切か
リースバック後は、毎月家賃を支払って元の自宅を借りることになります。家賃の条件は適正か確認しましょう。家賃が高すぎると家計を圧迫し、支払いができなくなる可能性もあるため、適切な家賃設定になっているかに注意しましょう。
家賃を判断するときは、今後の家賃支払いをシミュレーションするとよいでしょう。自宅を売却して受取る金額、現在と将来の収入、支払うべき家賃を考慮して、無理のない家賃となっているかを計算してみてください。
維持費や修繕費の負担はどうなっているか
リースバック後の自宅の所有権は、リースバック事業者へ移ります。あくまで自宅を借りて住むことになるため、維持費や修繕費の負担の所在も大切なチェックポイントです。
火災保険や地震保険の保険料、リフォームのための費用、経年劣化した場合の修繕費などの負担が、貸主と借主のどちらになっているかを確認しましょう。
なお、リースバック後の設備の設置や建て替えは、リースバック事業者の承諾が必要です。自宅の所有権がご自身にあったときとは、いくつかの点で異なることも注意しましょう。
リースバックの仕組みを事前に把握して賃貸借契約を結ぼう
リースバックでは、売買契約と賃貸借契約の2つの契約を結びます。賃貸借契約は、リースバックで売却した自宅を、リースバック事業者から借りて住み続けるための契約です。
賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約の2つの種類があります。普通借家契約は契約期間満了後に更新が可能ですが、定期借家契約で住み続けるためには、借主と貸主の合意のもと再契約が必要です。
賃貸借契約を結ぶときは、普通借家契約と定期借家契約の違いや家賃の設定などに注意して、契約書の内容を事前に確認しましょう。

契約した方が亡くなったあとは賃借権が同居する方に引き継がれるため、そのまま住み続けられます。
無料査定も受付けているため、興味のある方はぜひAG住まいるリースバックまでご相談ください。
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- 監修者:新井 智美
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- プロフィール:
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,500本を超える。
- 資格情報:
- CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- HP:https://marron-financial.com/