リースバックとは、ご所有の不動産を売却しても、
新たな所有者との賃貸契約を結ぶことで、
賃料を支払いながら引き続きその不動産に
住み続けることができます。
また、将来的に
買い戻しができる点も魅力のシステムです。
リースバックはオーバーローンでも利用できる?方法や注意点を解説
更新日:2024.04.15
リースバックは、自宅の売却と同時に賃貸借契約を結び、売却後は借主として自宅に住み続けられるサービスです。
住宅ローンが残っていても、住宅ローンの残債が売却価格よりも低い「アンダーローン」の状態であれば、問題なくリースバックを利用できます。
一方、住宅ローンの残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合、リースバックの利用は難しくなるのが一般的です。
本記事では、オーバーローンの状態でリースバックを利用する方法や注意点を解説します。
リースバックをご検討の方へ
もくじ
オーバーローンとは
オーバーローンとは、住宅ローンの残債が不動産の売却価格を上回る状態を指します。
オーバーローンの場合、リースバックの売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。たとえば、リースバックの売却価格が1,500万円で、住宅ローンが2,000万円残っているような場合です。
アンダーローンとの違い
アンダーローンとは、住宅ローンの残債が不動産の売却価格を下回る状態です。
アンダーローンの場合は、問題なくリースバックを利用できます。なぜなら、不動産を売却すれば、売却代金で住宅ローンを完済できるからです。
たとえば、リースバックの売却価格が1,500万円、住宅ローンの残債が1,000万円の場合は、売却代金で住宅ローンを完済することでリースバックを利用できます。
オーバーローンでもリースバックできる?
売却価格よりも住宅ローン残債のほうが大きいオーバーローンの場合は、売却代金で住宅ローンを完済できないため、リースバックを利用するのは難しくなります。
リースバックは、不動産の売買契約と賃貸借契約を組み合わせたサービスです。自宅をリースバック事業者に売却して売却代金を受取り、売却後は借主として自宅に住み続けられます。
住宅ローンを組むときに、金融機関が土地・建物に抵当権を設定します。しかし、不動産を売却するときは住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権とは、債務者(住宅ローン利用者)が返済できなくなったときに他の債権者に優先して弁済を受けられる権利です。債務者が住宅ローンを返済できなくなると、金融機関が抵当権を実行して住宅を競売(強制的に売却すること)にかけ、貸したお金を回収します。
抵当権が付いた不動産は、売主が返済できなくなった場合に競売にかけられる可能性があるため、通常の売買では抵当権を抹消してから物件を引き渡すのが基本です。
したがって、売却代金で住宅ローンを完済できない場合、一般的にリースバックは利用できません。
オーバーローンでリースバックする方法
先述の通り、オーバーローンの状態で住宅ローンを完済できない場合、リースバックの利用はできません。ただし、オーバーローンでもリースバックを利用できるケースがあります。
- 不足分の資金をご自身で用意する
- 任意売却後にリースバックする
以下で詳しく解説します。
不足分の資金をご自身で用意する
オーバーローンの場合、不足分の資金(現金)をご自身で用意して住宅ローンを完済できれば、リースバックを利用できる場合があります。
たとえば、売却価格が1,500万円で住宅ローンの残債が2,000万円の場合、500万円を追加で用意すれば住宅ローンの完済が可能なことがあります。
ただし、不足分の資金をご自身で調達するのは容易ではなく、準備できなければリースバックは利用できません。また、自己資金で不足分を完済できても売却後の家賃を支払うのが難しい場合、リースバックの利用は現実的ではないでしょう。
任意売却後にリースバックする
任意売却をすれば、住宅ローンが残った状態でリースバックを利用できる可能性があります。任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者(金融機関)に交渉して抵当権を外してもらい、法的手続き(競売)によらない方法で自宅を売却する方法です。
先述の通り、通常住宅ローンの契約には抵当権が設定されており、これにより実質的に住宅ローンの借主は勝手に自宅を売却できない仕組みとなっています。
しかし、リースバック事業者が提示する売却価格で金融機関が任意売却に合意した場合、リースバックの売却価格に合わせて抵当権が抹消されるため、リースバックが可能になります。
自宅が競売にかけられた場合、売却価格は市場価格の6~7割前後となるのが一般的です。一方、任意売却は市場価格の8~9割程度で売却できる場合が多いため、金融機関は競売よりも多くの債権を回収できる見込みがある任意売却に合意する場合があります。
ただし、リースバック事業者が提示する売却価格で金融機関の合意が得られなければ、リースバックを利用できない点には注意してください。
また、リースバック事業者によっては、そもそも任意売却後のリースバック利用を受け付けていない場合もあります。任意売却ではオーバーローンの場合も売却が可能ですが、売却後に家賃を支払えなくなるリスクが高いためです。
オーバーローンでリースバックするデメリット・注意点
オーバーローンの状態でリースバックを利用するときのデメリット・注意点を解説します。
- 売却価格は通常の売買よりも低い傾向がある
- 住宅ローンの返済と家賃の支払いが必要となる
- 家賃が払えなくなれば退去せざるを得ない
以下で詳しく解説します。
売却価格は通常の売買よりも低い傾向がある
リースバックで自宅を売却するとき、一般的に通常の売買よりも売却価格が低くなります。なぜならリースバックの売却価格は、不動産価格が下がるリスクやリースバック事業者が売却する時のコストなどを考慮して決定されるためです。
売却価格が低くなるほど、住宅ローンの残債が残る(オーバーローンになる)可能性が高くなることを理解しておきましょう。
住宅ローンの返済と家賃の支払いが必要となる
任意売却によって返済しきれなかった住宅ローンの残債は、売却後も返済が続きます。
任意売却したからといって返済が免除されるわけではありません。
つまり、任意売却後にリースバックを利用した場合、住宅ローンの残債と家賃の二重払いになる可能性があります。住宅ローンの返済と家賃の支払いを続けられるかどうかを慎重に検討しましょう。
なお、任意売却後に残った債務について、無理のない範囲での返済を交渉できる場合もあります。
家賃が払えなくなれば退去せざるを得ない
リースバック利用後に家賃が支払えなくなると、通常の賃貸物件と同様に退去を余儀なくされます。
家賃の滞納後、直ちに退去を求められるわけではありません。しかし、一般的に3ヶ月程度滞納が続き、督促にも応じなければ退去を迫られることがあります。
リースバックの家賃は、売却価格や期待利回り(物件価格に対して期待する利益の割合)などをもとに算出されるため、周辺相場より高くなる場合があります。契約更新によって家賃が値上げされる場合や、ご自身の病気やケガなどで収入が減少し、家賃が支払えなくなる可能性もあるため慎重に検討しましょう。
また、買戻し特約が付いている契約で家賃を滞納すると、多くの場合は買戻しの権利を失います。
オーバーローンでリースバックする前に確認したいQ&A
オーバーローンの状態でのリースバックの利用を検討している方向けに、事前に確認しておきたいQ&Aを3つ紹介します。
Q.オーバーローンかどうか確認する方法は?
自宅の査定を依頼し、住宅ローンの残債と比べれば、オーバーローンかどうか確認できます。売却価格より住宅ローンの残債のほうが大きい場合はオーバーローン、小さい場合はアンダーローンの状態です。
住宅ローンの残債は、一般的に借入れ先の金融機関から届く返済予定表や、WEB上の会員ページなどで確認できます。
リースバックの売却価格は、リースバック事業者によって異なります。複数社に査定を依頼し、査定価格を比較しましょう。
Q.任意売却ができるのはいつまで?
多くの金融機関は、競売の入札開始日の前日を任意売却が可能な期限としています。そのため、任意売却後にリースバックを利用する場合、競売の入札が始まるまでに任意売却のすべての手続きを完了しなければなりません。
一般的に、住宅ローンの滞納が6ヶ月ほど続くと競売が申し立てられ、裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。その後、執行官によって不動産の調査が行われると競売開始目前です。
入札が開始されると任意売却はできなくなるため、住宅ローンの返済が難しく任意売却後のリースバックを検討する場合は、なるべく早くリースバック事業者に相談しましょう。
Q.将来買戻しはできる?
オーバーローンでリースバックを利用した場合も、将来的に買戻しできる可能性があります。買戻し特約をつけて契約する、または売買予約契約を結べば、買戻しが可能です。なお、売買予約契約とは将来、売買契約を成立させることを約束する契約のことです。
たとえば、一時的な収入の減少などでローンの返済が難しいものの、将来的に収入が増える見込みがあるなどの理由で自宅の買戻しを検討する場合は、買戻しの条件や価格を確認しておきましょう。
ただし、買戻し価格には売買時の経費などが上乗せされるため、一般的に売却価格よりも高くなります。資金を用意できなければ、買戻しはできません。
場合によってはオーバーローンでもリースバックの利用ができる
住宅ローンの残債が売却価格を上回るオーバーローンの場合、基本的にリースバックの利用はできません。ただし、不足分をご自身で調達して住宅ローンを完済できる場合は、リースバックの利用が可能です。
また、金融機関の同意が得られれば、任意売却することでリースバックを利用できる可能性もあります。
まずはリースバック事業者に査定を依頼し、オーバーローンかどうかを確認しましょう。
リースバックのご相談は、AG住まいるリースバックへお任せください。AG住まいるリースバックは、住宅ローンのお借入れがある方にもご利用いただけます※。
WEBでの無料査定も行っているので、ぜひご利用ください。
※ 残債金額により取扱いできない場合があります。
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- 監修者:馬場愛梨
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- プロフィール:
- ばばえりFP事務所代表。関西学院大学商学部を卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に金銭的に苦労したことから、難しいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。お金に関する解説記事の執筆や監修を数多く手掛けている。
- 資格:AFP、証券外務員一種、貸金業務取扱主任者資格試験合格
- HP:https://babaeri.com/