家（自宅）を売って賃貸に住むメリット・デメリットは？リースバックの活用も紹介

まとまった資金を調達できる

持ち家を売って賃貸物件に住む第一のメリットは、まとまった資金を調達できることです。持ち家を売却することによって得た資金に、使い道の制限はないため、持ち家を売却して得た資金を老後資金や教育資金、住み替え資金など、様々な目的で利用できます。

持ち家の築年数や立地、状態、周辺環境などによって、持ち家の売却金額は変わってきますが、想定していたより高い価格で売却できるケースもあるでしょう。

また、持ち家を売って利益が出た場合は、譲渡所得として所得税と住民税が課税されますが、一定の条件を満たすと譲渡所得から3,000万円まで控除される場合があります（居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例）※。

※2025年3月現在の情報です。

住宅ローンの返済がなくなる

住宅ローンの残債がある場合は、持ち家を売って得た資金で完済すると、住宅ローンの返済がなくなります。

本来発生するはずだった利息を支払う必要がなくなるため、当初の予定よりも住宅ローンの総返済額を抑えることが可能です。住宅ローンが変動金利の場合は、金利上昇リスクからも解放されます。

また、住宅ローンの返済義務がなくなると、住宅ローンの滞納によって持ち家を失う心配がなくなるため、心理的な負担も軽減されるでしょう。

固定資産税を支払う必要がなくなる

持ち家を売ると、持ち家にかかる固定資産税などの支払いがなくなり、固定費の負担が軽減されます。負担が軽減される主な費用は以下です。

賃貸物件でも火災保険の加入を求められることが一般的ですが、持ち家の場合と比べて保険料の負担が小さい傾向があります。

また、持ち家の場合、外壁の塗り替えや設備の故障などに備えてまとまったお金を計画的に準備しておく必要がありますが、一般的な賃貸物件では、貸主が、これらの費用を負担するため、修繕費の負担も少なくなるでしょう。

持ち家のリスクから解放される

持ち家の所有によるリスクから解放される点もメリットの一つです。

持ち家を売って賃貸物件に住むと、持ち家の資産価値が低下するリスクや住宅ローンの金利上昇リスク（変動金利の場合）など、持ち家ならではのリスクがなくなります。

また、賃貸物件の場合、災害による建物の修繕費は、一般的に、貸主が負担するため、借主が支払う必要がありません。

一方、持ち家で災害による被害を受けた場合は、所有者が修繕費を負担しなければならず、保険に加入していても、修繕費や建替え費用の全額をまかなえるとは限らないことを考えると、修繕費や建て替え費用の負担が大きくなる傾向があります。

住み替えしやすくなる

持ち家を売って賃貸物件に住むと、住み替えしやすくなります。

持ち家の場合、転勤で勤務地が変わったり、近所の方とトラブルになったりしても、簡単に引っ越すことができません。

一方、賃貸物件では、ライフスタイルの変化などに応じて住み替えを検討できます。例えば、災害によって住み続けられない、あるいは家賃を支払うのが難しいなどの状況になったときも、引っ越しによって解決できる場合があります。

家賃を支払い続ける必要がある

持ち家を売って賃貸物件に住むと、住宅ローンの返済や固定資産税の支払いなどから解放されますが、住み続ける限り家賃の支払いが必要です。

しかし、住み続けている間に、賃貸借契約更新のタイミングで更新料がかかる、あるいは家賃を値上げされる可能性があるほか、ご自身の退職などで収入が減り、家賃の支払いが難しくなることも考えられます。

また、賃貸物件に住むときには、主に以下の初期費用が必要です。

希望する期間住み続けられるとは限らない

持ち家の場合、老後の住まいに困らない安心感がありますが、賃貸物件の場合は、ご自身が希望する期間住み続けられるとは限りません。

特に、高齢になると、支払能力や健康面への懸念から賃貸物件への入居がしにくくなり、入居できる賃貸物件の選択肢が限定される可能性があります。

自由にリフォームできない

持ち家の場合は、住む人数やライフスタイルの変更に応じて、所有者が、自由に持ち家をリフォームできます。

しかし、賃貸物件の場合、住んでいる物件を借りている立場のため、一般的に、住んでいる物件の設備の変更やリフォームを自由にすることができません。

賃貸物件の借主には賃貸物件の原状回復義務があるため、無断で賃貸物件をリフォームすると退去時に原状回復費用を請求される可能性があります。なお、原状回復義務とは、借主が借りた部屋を借りたときの状態に戻して返還する義務です。