リースバックとは、ご所有の不動産を売却しても、
新たな所有者との賃貸契約を結ぶことで、
賃料を支払いながら引き続きその不動産に
住み続けることができます。
また、将来的に
買い戻しができる点も魅力のシステムです。
リースバックには審査がある!利用条件や必要書類、審査が通らない原因を解説
更新日:2024.08.06
リースバックは、老後資金の確保やローンの早期返済などで活用されています。リースバックに興味があるものの、「審査はあるのか」「どういった利用条件を満たす必要があるのか」など不安や疑問を感じる方もいるかもしれません。
本記事では、リースバックの審査に関する基本的な内容や審査基準、利用条件、必要な書類を解説します。リースバックを利用できない場合に考えられる原因も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
リースバックをご検討の方へ
もくじ
リースバックの審査とは
リースバックは自宅をリースバック事業者に売却し、その後リースバック事業者と賃貸借契約を結んで自宅にそのまま居住する仕組みです。自宅を売却後も住み慣れた環境を変えずに生活できるメリットがあります。
リースバック事業者の視点から見ると、リースバックは利用者から物件を購入した後、その物件を利用者に貸すプロセスとなります。
リースバック事業者にとって、「物件(自宅)に問題はないか」「リースバック後に家賃を支払い続けられるか」は重要な部分です。そのため、リースバック利用時には物件などに関する審査や利用条件を満たす必要があります。
なお、信用取引である金融機関からの融資やローンでは、利用者の返済能力の審査が重視されます。リースバックは物件の売買と賃貸借の取引であるため、確認される項目に違いがある点は把握しておきましょう。
リースバックの審査基準や利用条件
リースバックの審査基準はリースバック事業者によって異なり、基本的に公表されていません。ただし、リースバックを利用する側からすると、「どういった部分を確認されるのだろう」という点は気になるところです。
以下は、リースバックの物件の売買や賃貸借で見られる一般的な確認項目と利用条件です。
- 売却する物件の状態
- 名義人の同意(共有名義の場合)
- 住宅ローンの残債
- 家賃の支払能力
リースバックを検討する際の参考にしてください。
①売却する物件の状態
リースバックでは、リースバック事業者が物件を買取るために物件の状態は重要な確認項目です。物件に問題はないか、次のような点が確認されます。
- 違法または既存不適格の建築物ではないか
- 重大な瑕疵がないか
- 事故物件ではないか
- 借地権が付いていないか
リースバック事業者はリースバック終了後に、物件を第三者に転売するなど投資用物件として運用するケースが多いです。
物件に違法な部分や、既存不適格の建築物(旧法に沿って建築されたものの、新法に適合していない建築物)であると、投資用物件として運用できない可能性があります。
そのほか、物件に瑕疵がないか、事故物件でないかという点も確認されます。また、借地権付きの物件の場合、リースバックを利用するためには土地の所有者の同意が必要です。そのため、借地権の有無を含めた確認も行われます。
②名義人の同意(共有名義の場合)
自宅が共有名義の場合、リースバックを利用するためにはすべての名義人の同意が必要です。
たとえば、自宅が配偶者と共有名義になっている、親から相続した関係で兄弟や姉妹と共同所有しているなどの場合は、契約の際に各名義人の同意と契約書への署名・捺印が必要です。
自宅が共有名義になっている場合は事前に名義人と相談し、リースバックの同意を得ておきましょう。
長年生活した住居は、住んでいた方々それぞれに愛着や思い出があるでしょう。リースバックでは売却後も自宅に住み続けられますが、所有権はリースバック事業者へ移るため、家族や親族とリースバックの利用を話し合っておくと安心です。
③住宅ローンの残債
自宅の住宅ローンの残債があってもリースバックは利用可能ですが、残っている住宅ローンは自宅の売却代金で完済し、抵当権を抹消する手続きが必要です。抵当権とは、債務者が返済できなくなった際に担保とした土地や建物を売却し、その代金から優先して弁済を受けられる権利のことです。
住宅ローンの残債がある場合は、アンダーローンの状態であるか、オーバーローンの状態であるかに注意しましょう。
- アンダーローン:自宅の売却価格が住宅ローンの残債よりも多い状態
- オーバーローン:自宅の売却価格が住宅ローンの残債よりも少ない状態
アンダーローンとは、リースバック事業者が査定した自宅の売却価格が住宅ローンの残債よりも多い状態のことです。
たとえば、売却価格が2,000万円で住宅ローンの残債が500万円であった場合、2,000万円のうち500万円を住宅ローンの返済に充てることができます。
一方、オーバーローンの状態にある場合、自宅の売却代金だけでは住宅ローンの完済ができません。住宅ローンの返済に自己資金を活用する、任意売却によって抵当権を抹消する方法もありますが、リースバックを利用できないこともあります。
④家賃の支払能力
リースバックで自宅の売却後は賃貸借契約を結び、自宅を借りて生活します。そのため、マンションやアパートを借りる場合と同様に、家賃の支払能力の確認はリースバック事業者にとって大切な項目です。
一般的に、リースバックでは賃貸保証会社が利用されます。賃貸保証会社とは、借主が何らかの事情で家賃を支払えなくなった場合に、貸主に家賃分の金額を立て替える保証会社のことです。
賃貸保証会社では、借主の収入などを含めた支払能力を審査します。住宅を保有できる信用力があれば審査に通過できる場合も多いですが、場合によっては審査を通過できないケースもあるので注意しましょう。
リースバックの審査に必要な書類
リースバックの審査に必要な主な書類は次のとおりです。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 登記済み権利書または登記識別情報通知
- 収入を証明する書類(源泉徴収票や確定申告書など)
- 固定資産税納税通知書
本人確認書類は、リースバックを利用する方が本人であることの確認や住所の確認に利用されます。そのほか、不動産の評価額や家賃の支払いに関する書類も必要です。
リースバック事業者によって必要な書類は異なるため、依頼された書類をひとつずつ準備しましょう。
リースバックの審査が通らない原因
リースバックを利用できない場合には、いくつかの原因が考えられます。以下では、3つの原因をピックアップして紹介します。
- 物件の流動性が低かった
- リースバック事業者の営業エリア外であった
- 賃貸保証会社の審査を通過できなかった
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
物件の流動性が低かった
物件の流動性とは、その物件の売れやすさのことです。リースバック事業者が物件の流動性が低いと判断した際は、リースバックを利用できない場合があります。
たとえば、建物の建蔽率や容積率がオーバーしている、再建築不可物件である、新耐震基準を満たしていないなどの売却が難しい物件がその一例です。
また、賃貸併用住宅や事業用としても利用している物件、市街化調整区域(市街化抑制のため建て替えが制限される地域)にある物件などは流動性が低くなりやすいため、リースバックを利用できない可能性があります。
物件の流動性が原因の場合は、ほかのリースバック事業者に査定を依頼する方法も選択肢です。審査や査定の基準はリースバック事業者で異なるため、ほかのリースバック事業者では利用できる場合があります。
そのほか、通常の不動産売買で売却する、リバースモーゲージを利用するなど、別の方法を選択することも検討しましょう。
リースバック事業者の営業エリア外であった
リースバックは、事業者の営業エリア内が対象です。リースバックを利用できない原因のひとつに、自宅のある地域がリースバック事業者の営業エリア外であることが挙げられます。
リースバック事業者の営業エリアは、全国を対象とする場合や、リースバック事業者の営業所がある地域、主要都市の近隣区域などの違いがあります。
事前にリースバック事業者の公式サイトを確認して、お住まいの地域が営業エリアに含まれているかをチェックしましょう。
なお、オンラインでの無料査定に対応するリースバック事業者の場合、スマホやPCで営業エリアを確認できることがあります。
賃貸保証会社の審査を通過できなかった
賃貸保証会社は、入居者が家賃を支払えなくなった場合に立て替える保証会社です。審査基準は公表されていませんが、職種や雇用形態、勤続年数、過去の滞納履歴、家賃に応じた支払能力が審査されます。
物件に問題がない場合でも、賃貸保証会社の審査を通過できずにリースバックを利用できないケースも考えられます。保証人の設定によって賃貸保証会社の保証を受けられる場合もあるので、担当者と相談してみましょう。
賃貸保証会社は事業者によって異なるため、ほかのリースバック事業者に依頼する方法もあります。
リースバックの審査でよくある質問
最後に、リースバックの審査でよくある質問を解説します。
リースバックの審査にかかる時間はどれくらい?
リースバックの審査にかかる時間は事業者や方法で異なります。たとえば、リースバック事業者によっては仮査定は最短即日で回答が可能なケースもあるなど、比較的短期間で終了します。
リースバックでは仮査定後に訪問査定や本査定が実施されますが、こちらの査定は一定の期間が必要です。訪問日の調整に時間が必要となるうえ、査定後も1週間程度(物件や事業者によってはそれ以上かかる場合もある)は見ておきましょう。
ただし、銀行の融資や売却先を探す必要のある通常の不動産売却と比較すると、リースバックは売却代金を受取るまでの時間が短い特徴があります。
リースバックに年齢制限はある?
リースバックには、年齢制限は設けられていないケースが一般的です。契約を結ぶためには成人である必要はありますが、ご自身で判断できる意思能力があればリースバックは利用可能です。
申込む前にリースバックの利用条件を満たしているかを確認しよう
リースバックでは、自宅の売買や賃貸借に関する審査が行われます。審査基準は基本的に明示されておらず、リースバック事業者によって違いがあります。各事業者の利用条件を事前に確認してから、申込みを検討しましょう。
はじめてのリースバックでわからないことがある場合は、リースバックを提供する事業者に相談してみてください。AG住まいるリースバックでは、オンラインで可能な無料査定や資料請求を提供しています。
資料請求も、来店不要かつ無料で可能です。リースバックに興味のある方は、AG住まいるリースバックをぜひご検討ください。
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- 監修者:田仲幹生
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- プロフィール:
- CFP、FP1級技能士の資格を有し、栃木県宇都宮市を中心にファイナンシャルプランナーとして活動。生命保険会社と税理士事務所に勤務した経歴があり、保険や税務会計の実務をこなしてきた。また、税理士事務所に務めていた約10年間の間に、株式投資や投資信託などで資産運用を行い、現在では不動産投資など投資の幅を広げている。ファイナンシャルプランナーとしては、金融機関から独立した完全中立な立場で相談及びアドバイスをさせて頂いており、お金のことを学ぶ「学習」を中心としたサービスを行っている。
- 資格情報:CFPⓇ、1級FP技能士、宅地建物取引士
- HP:https://fpoffice.okane-iroha.com/