リースバックとは、ご所有の不動産を売却しても、
新たな所有者との賃貸契約を結ぶことで、
賃料を支払いながら引き続きその不動産に
住み続けることができます。
また、将来的に
買い戻しができる点も魅力のシステムです。
リースバックの活用で離婚後の持ち家問題を解決できる?おすすめの理由や注意点も解説
更新日:2024.03.14
離婚が決まるとさまざまな手続きが必要になりますが、そのひとつに財産分与があります。しかし、預貯金などの現金とは違い、家は名義の問題や残った住宅ローン、離婚後の生活設計などにより、話し合いが難航しやすいです。
離婚後の持ち家問題は、リースバックを活用すれば解決できるかもしれません。
本記事では、リースバックの概要とともに、離婚後の持ち家問題へおすすめする理由や利用する際の注意点などを解説します。
リースバックをご検討の方へ
離婚時に発生する持ち家問題とは?
離婚には、離婚届の提出以外にも、さまざまな手続きや決めごとが必要です。
なかでも大変とされるのが財産分与です。結婚生活で築いた資産は夫婦の共同財産とされており、原則として夫婦それぞれが50%ずつ権利を持ちます。
結婚してから家を購入した場合、名義人や住宅ローンの返済者が夫婦のどちらかに関わらず、その家は夫婦共有の財産となります。
大きな資産である持ち家を保有している場合は離婚後の「住まい」にも関わるため、主に次のような点で問題が生じます。
- 持ち家を売却するか、どちらかが住み続けるか
- 住宅ローン返済中の場合、残りの支払いをどうするか
- 住宅の名義人をどうするか
以下では、発生し得る持ち家問題を離婚後に自宅に住み続ける場合と売却する場合に分けて具体的に解説します。
名義人が住み続ける場合
夫婦の共有財産である持ち家も、相手の同意があれば離婚後もそのまま住み続けられます。家の名義人がそのまま住むのであれば権利関係の問題がないため、比較的トラブルになりにくいでしょう。
ただし、住宅ローンが残っている場合は注意が必要です。名義人でなくてもローンの連帯保証人になっていると、住み続けている名義人の返済が滞った時に連帯保証人として返済を肩代わりしなければなりません。
連帯保証人はローン名義人と同等の立場であり、契約の解除がむずかしいため、離婚時の持ち家問題につながりやすいでしょう。
名義人以外が住み続ける場合
名義人ではない方が家に住み続けるには、離婚前に金銭面の慎重な協議が必要です。
たとえば家に住み続ける方がローンの支払いをする場合、出ていく名義人側はその支払いが滞った場合に金融機関からの請求が届いてしまい、金銭的なトラブルに発展してしまう可能性があります。
この時、名義人も支払いができないと、場合によっては強制退去になってしまうこともあります。
そのため、家の名義人は、離婚後に住む方へ移行するほうがよいでしょう。しかし、住宅ローン契約では金融機関により抵当権(担保)が設定されていることがほとんどで、返済中は名義を変えることは容易ではありません。金融機関から許可を得ても名義変更には再審査が必要です。
売却する場合
持ち家を売却して現金化すると、どちらかが住み続けるよりも、離婚時に財産分与をしやすくなります。なお、財産分与の方法は、原則折半となります。
住宅ローンを返済中の場合、財産分与の対象となる資産は「持ち家の売却額(時価)-住宅ローンの残債」です。
持ち家の売却額が住宅ローンの残債を上回る「アンダーローン」の場合には、住宅ローンを一括返済できるうえ、余ったお金を財産分与の対象にできます。
一方、持ち家の売却額で住宅ローンを一括返済できない「オーバーローン」の場合は、残りのローンを手持ちのお金から返さなければなりません。原則としてローンを完済しなければ家を売却できず、マイナス資産として夫婦間のトラブルになる恐れがあります。
リースバックの活用で離婚時の持ち家問題が解決できる
離婚時に持ち家に関する話し合いが進まない場合は、リースバックを選択肢に加えてみましょう。
リースバックとは、自宅を売却してまとまった資金を得ながら家賃を支払うことで、今までと変わりなく住み続けられる仕組みです。次のような特徴から、離婚時の持ち家問題の解消に役立つと考えられます。
- 名義人がリースバック事業者に変わる
- 住宅ローンがなくなる
- 住居にかかる費用が軽減される可能性がある
上記の特徴を踏まえて、離婚時の持ち家問題にリースバックをおすすめする理由を詳しく解説します。
名義人がリースバック事業者に変わる
リースバックの特徴のひとつは、持ち家の売却によって、名義人がリースバック事業者に変わることです。
夫が名義人であっても、夫婦の共同名義であっても、名義が関わることで離婚時の持ち家問題は複雑になります。持ち家の名義には住宅ローンの抵当権も関係するため、離婚後の返済がトラブルにつながる恐れもあります。
持ち家をリースバックすれば、売却先となるリースバック事業者に家の名義が変わるため、夫婦間の名義人に関する問題を避けることができます。
さらに、家を売却したあとはリースバック事業者と賃貸借契約を結んで、賃貸物件として同じ家での暮らしを続けられるため、「売却したい」「住み続けたい」など、夫婦で異なる希望を持っていた場合の折衷案としても活用できます。
住宅ローンがなくなる
通常、家の売却代金で住宅ローンを一括返済できる場合に限定されますが、リースバックは住宅ローン返済中であっても申込めます。
ご自身で売却するのとは異なり、リースバックを利用すると売却先を探す手間や時間がかからず、まとまった資金をスムーズに調達できます。
ただし、リースバックの売却価格は、市場の相場よりも低くなる可能性があるため注意が必要です。納得して売却できるように、複数のリースバック事業者から見積りを取っておくとよいでしょう。
住居にかかる費用が軽減される可能性がある
リースバックを利用すると、持ち家の名義はリースバック事業者に移るため、家の所有に伴う修繕費(一般的には躯体にかかるもののみ)や固定資産税、火災保険などの支払いが不要になります。
リースバック事業者へ家賃の支払いは必要ですが、これまで負担してきたコストがない分、住居にかかる費用を軽減できる可能性があります。
リースバックの家賃は、一般的な賃貸物件とは異なり、リースバック事業者が不動産の利回りから設定します。不動産の価値や地域などにもよりますが、売却代金のうち利回りを6~13%とし、12ヵ月で割った金額を家賃とするのが一般的です。
- 1ヵ月あたりの家賃=持ち家の売却代金×6~13%程度÷12カ月
離婚時にリースバックを利用する際の注意点
離婚時のリースバックの利用は、夫婦のどちらかが持ち家に引き続き住み続けたいと考える際に有効な選択肢です。
しかし、リースバックを利用する際にはいくつか注意しておきたい点もあります。
名義人がリースバックに同意する必要がある
リースバックでは、売却によって持ち家の名義がリースバック事業者に移ります。そのため、利用に際しては持ち家の名義人全員の同意が必要です。
たとえば、親の家を兄妹2人が1/2ずつの共有名義で相続したあと、結婚した兄夫婦が暮らしていたとします。この場合、リースバックを利用には、兄と妹、双方の同意を得て、不動産売買契約書への署名・捺印などに協力してもらう必要があります。
また、離婚前の夫婦にとって持ち家が共有財産であっても、夫のみが名義人の場合、名義人ではない妻の独断でリースバックへの申込みはできません。
支払う家賃を確認する
リースバックを利用して持ち家に暮らし続けるためには、リースバック事業者に家賃を支払わなければなりません。
家賃は利回りを重視するため、周辺の賃貸相場よりやや高く設定される場合があります。住宅ローンの返済から解放されるとはいえ、家賃の負担が大きいと支払いが困難になる事態も考えられます。
離婚後の収入や貯蓄、ライフプランなどから、支払いに無理のない家賃かどうかをシミュレーションしておきましょう。
住宅ローンを完済できるかを確認する
リースバックは、通常、持ち家の売却代金が住宅ローンの残債を上回る際に利用できます。そこで、リースバックを検討する際には、まず住宅ローンの残債を確認します。
また、先述のとおり、リースバックの売却価格は相場よりも低くなる傾向があります。住宅ローンを完済できるかをご自身だけで判断せず、申込み前にリースバック事業者へ見積りを出しておくと安心です。
持ち家の売却代金で一括返済できなければ、手持ちのお金から不足分を支払わなければなりません。夫婦で分割する財産がなくなるだけではなく、離婚時の金銭的負担が膨らむ可能性があります。
離婚時の持ち家問題にはリースバックを活用しよう
離婚時にはさまざまな手続きや決めごとが必要ですが、なかでも持ち家に関する問題は複雑です。
しかし、リースバックを活用すれば離婚時の持ち家問題を解消できます。
リースバックは持ち家の売却によって住宅ローンの完済と資産の現金化ができ、さらに賃貸として同じ家での生活を続けられるため、持ち家の名義などに関わるトラブルに対応できます。ただし、利用時は名義人全員の同意が必要になる点など、注意点も把握したうえで検討しましょう。
AG住まいるリースバックは、持ち家問題をはじめとするさまざまな資金問題を解決する手段として活用できます。 オンラインからの資料請求や無料査定 ができるほか、お電話でのご相談にも対応しています。リースバックの利用を検討している方はお気軽にご相談ください。
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- 監修者:四方 裕伸
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- プロフィール:
- ファイナンシャルプランナーとして16年の経験を積み、千葉県でゆうりFP㈱を経営。建築、設計、損保、生保、不動産、FPの6つの事業を展開し、実務と学習を結びつけ、総合的で中立的な視点で、身近な生活や予算に即した具体的な課題や事実に真摯に向き合っている。
- 資格:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、損害保険トータルプランナー、トータルライフコンサルタント
- HP:https://ulifp.com